書籍紹介 『株式投資家が会社に知って欲しいこと』 日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 編

日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム 編(2008年)
『株式投資家が会社に知って欲しいこと』
http://www.jcgf.org/jp/publishment/investor.htm

どのようなことにも流行があって、最近のIRは個人投資家向け。でも巨額の運用資産、運用のプロフェッショナルであるという点において資本市場で機関投資家の果たす役割は重要でその影響は大きいですよね。

この本は、機関投資家の役割を軸として会社と株主の関係、株価と企業経営などテーマ別にQ&Aの形で、株式を公開している会社の重要な問題を示しています。機関投資家やアナリストなどの実務家が執筆していますが、誰が読んでも、理解できるよう平易な言葉で書かれています。

たとえば 
「資本コストやWACCとはどのような概念でしょうか」
「投資ファンドと一般機関投資家で投資アプローチや経営を見る目に違いはあるでしょうか」
といった基本的な質問から、
「株主と取締役の関係」「総会権限を通して見た株主の地位とは」など商法上のルールにいたるまで、幅広く取り上げられています。

これ一冊あれば、IR担当者が今までファイナンス、証券投資、コーポレート・ガバナンスなどのさまざまな分野の本をめくったり、IRコンサルに聞いたりしていた疑問がかなりスピーディに解決できるのではないかと思います。忙しいIR担当者、初心者にとって大変利便性が高い本といえます。

最近ではIRの本もそれなりに出版されていますが、ほとんどがIRのコンサルやIR関連機関が出版している書籍で単なる方法論やIRサービスの内容に終始していたり、我田引水のところがありそうです。その点、株主が企業に何を求めるいるか、投資家が何を考えているか、企業に対してどのような問題意識を持っているか、について書かれた本書は、株主との認識のギャップをなくそうと考えておられる企業経営者や財務・IR担当者に是非読んでいただきたい1冊としてお奨めします。

主要目次
■株式会社と深く関わる株式市場 (神山直樹)
□株式投資家がいまなぜ声を上げるのか
□株主とは、株式投資家とは誰か
□配当から見た株主
□会社と株主の関係
□株価と企業経営

■企業財務担当者の常識と株主の常識のギャップを埋めよう (光定洋介)
□株主の期待するリターン
□株主の期待する企業行動

■機関投資家の議決権行使と企業の情報開示・IRへの期待 (木村祐基)
□機関投資家の議決権行使
□企業の情報開示・IRへの期待

■株主が取締役に期待すること (小口俊朗)
□株主と取締役の関係
□社外取締役の役割
□取締役の報酬制度

■上場会社における株主の地位--高いか、低いか、投資家の視点 (江口高顯)
□総会権限を通して見た株主の地位
□少数株主保護を通して見た株主の地位
□支配権市場のルールを通してみた株主の地位

■パネルディスカッション「株主ガバナンスの今日的課題」 (江口高顯/小幡 績/神山直樹/橋本基美)
■補論「欧州は何処に向かうのか?」 (フランク・カーティス 訳・小口俊朗)

次回はIFRSについて現状のステータスを紹介します。





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