誤解の多いIRの目的

先日、IR協議会主催のIR大会がありました。予算が厳しくなったのか、ブースに出展するIR支援企業が少なくなっていたのが印象的でした。でも不況というのは悪いことばかりではありません。IR活動ひとつとっても、これって本当に必要?と検討し、活動の在り方そのものを見直すよい機会になります。IR支援会社も、自分たちのサービスが社会から本当に必要とされているかどうか、もっと有効な支援方法がないか、研究するチャンスになりますね。

ところで、自社のIR活動を見直すときに、よく議論されるのが、IRの目的ってなに?ということなのではないでしょうか。「こんなにIRをやっているのに、同業他社より株価が安くてどうするんだ」「株主総会でこんなに質問がでるなんてIRは何をしているのだ」などと、いわれなき非難を受けるIR担当者もおられると思います。

すごく単純で乱暴な言い方をすると、IRは「資本市場から、企業が創り出す付加価値に見合った評価を受けるための経営情報提供活動」と定義できます。株式の取引は「この会社が好き」だったり「この会社のこの優待が好き」だったり「このビジネスは絶対将来性があるからこの会社は成長する、だから買う」、「こんな健全な会社の株式がこんなに安くていいはずがない。もっと上がるはず」だの、いろいろな考え方(投資の基準)を持つ人で成り立っています。株価とは、いろいろな投資基準を持った人の売買が均衡した時点の価格です。
 
市場の中で株式を売買している人が自分の投資基準で売買の判断が正しくできるように、株式を流通させている企業(上場企業)は自社の経営情報を平等にいつも同じ態度で発信する必要があります。これがIRの基本です。市場が正常に機能しているなら、企業が創り出す付加価値よりもあまりにも株価が高ければ、IRを行うことで、株価が下がる可能性もあります。これが広告宣伝活動と大きく異なる点と言えます。

さて、ここで疑問が生じます。大体、自社の妥当な株価っていくらなのか。そもそも株価と企業の生み出す付加価値の関係は説明できないのか。これをある側面から説明したものがファイナンス理論といわれるものです。企業のIR担当者は必ずしもファイナンスの専門家である必要はありませんが、少なくとも基本的なことを知っておけば、IRは株価を上げることだ、と考える経営者を、多少なりともいさめることができるかも知れません。

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