「良い会社」とは?

実は私は兼業で学生もやっておりまして、この間久しぶりに大学にいき講義を聞いたのですが、その内容が興味深いものでしたので、ご紹介したいと思います。

その大学の教授で大手経済紙(つまり日経新聞ですが)の客員コラムニストをやっておられる西岡先生の講義のお話です。先生が書かれた日本版バロンズ(ヴェリタス)のコラム*1についての話。かいつまんで言えば、年末に出た企業ランクでは、従業員から見た「良い会社」と投資家から見た「良い会社」は重複していない。これは両者は対立軸であることを暗示しており、株主主体のガバナンスも、全天候型のガバナンスも絶対的な目標にはなりえない、というものです。

さらに、講義の中では、その日経本紙で毎年年頭に掲載される経営者が見たリーダー企業の見方について、経年で定点観測するには良い資料であること、過去、経済環境が同じ状況で選定された企業を比較し、その時点と現時点で異なる点を比較し研究すると面白いというお話がありました。
ここ10年に挙げられた企業を見るとかなり限定されていますが、それでも2007年まで圧倒的な強さを誇っていたトヨタが上位3社から消えて、今回はコマツが上がっています。信越化学、三菱商事は常連です。これは何を表すか。
コマツは世界中にブルドーザーを販売しており、しかも独自のシステムで世界中の自社のブルドーザーの稼働状況が一目でわかるようになっている。つまり世界が市場です。信越化学は高付加価値素材関連で三菱商事はコモディティを扱っていますね。なんとなくこれからの成長分野が見えてくるようです。

日本の産業の中心は、最終製品の組み立てから中間部品にシフトするのでしょうか。トヨタの凋落は、長く産業を支えてきた自動車の終焉を意味するのでしょうか。時代はPCからスマートフォンに移り、WINTELからアップル・グーグル・フェイスブックの時代に移行したのでしょうか。ひとつの記事からいろいろな視点が生まれてきます。

技術の進化につれ、われわれが必要とするものが変わってくるのは仕方ありません。イノベーションを実現した企業が提供する価値やサービス。社会がそれを必要とする度合いが強いほど付加価値は高くなります。社会から見れば、必要とする製品やサービスをタイムリーに提供してくれる企業が最も「良い会社」といえますね。

少し前の本ですが、「良い会社とは?」という問いに一定の答えを与えてくれた本があります。
「日本の優良企業研究」*2。過去15年の財務データから収益性、安全性、成長性の指標に着目して抽出した30社を比較して、企業経営の原点ともいえる6つの条件を抽出したものです。
巻頭には次のような言葉が認められています。
「自分たちがわかる事業を、やたら広げずに、愚直に、真面目に、自分たちの頭できちんと考え抜き、情熱を持って取り組んでいる企業」

参考文献
*1 西岡幸一(2011.1)「もやもや経済学」 日経ヴェリタス 62面
*2 新原浩朗(2003)『日本の優秀企業研究』 日本経済新聞社


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック